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FX基礎知識

世界の為替でいちばん多いのは「為替スワップ」|1日4兆ドル、スポットは31%

2026年10月28日

国際決済銀行(BIS)の3年に1度の調査では、2025年4月の世界の為替取引は1日平均9.6兆ドルでした。いちばん多い取引の種類は「為替スワップ」で、1日4兆ドル。個人のFXに近いスポット(直物)は31%です。見方は3つ。①種類ごとの割合、②3年前からの伸び、③スワップとフォワードの使われ方。この順で押さえると、市場の主役が見えてきます。

投資判断は自己責任でお願いします。FXは差金決済取引で、為替変動やレバレッジにより証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあります(元本が保証される商品ではありません)。本記事は統計の読み方の整理で、特定の取引や商品を勧めるものではありません。

そもそもBISの3年調査とは何か?

BISが3年ごとにまとめる「Triennial Central Bank Survey」です。世界の為替と店頭金利デリバティブの規模を、1か月分切り取って測ります。今回の対象は2025年4月。公表は2025年9月30日でした。

参加したのは52の国・地域の中央銀行や当局。そこが自国の1,100を超える銀行やディーラーからデータを集めます。BIS自身が「市場の規模と構造をいちばん網羅的に示す情報源」と書いている統計です。

項目2025年4月の数字
為替取引の総額(1日平均)9.6兆ドル(2022年比+28%)
店頭金利デリバティブ(1日平均)7.9兆ドル(同+59%)
ドルが片側に入る取引全体の89%
参加した国・地域52

見方①:種類ごとの割合を並べる

いちばん多いのは為替スワップで、1日4兆ドル。総額9.6兆ドルで割ると約42%です。スポットは31%、アウトライト・フォワード(先渡し)は19%でした。

情報を交換するビジネスパーソンのイラスト
為替スワップは「いま交換して、あとで戻す」取引

為替スワップは、2つの通貨をいま交換し、決めた日に逆向きに交換し直す取引です。スポットは、その場で通貨を売り買いする取引。フォワードは、将来の決まった日に、いま決めたレートで交換する約束です。

取引の種類1日平均全体に占める割合
為替スワップ4兆ドル約42%(筆者計算)
スポット(直物)約3.0兆ドル(筆者計算)31%
アウトライト・フォワード約1.8兆ドル(筆者計算)19%
それ以外の商品約0.8兆ドル(筆者計算)約8%(筆者計算)

BISが数字で示しているのは、為替スワップの4兆ドルと、スポット31%・フォワード19%の割合です。金額への換算と「それ以外」の行は、総額9.6兆ドルから私が割り戻しました。端数の丸めで、合計は少しずれます。

見方②:3年前からの伸びを比べる

伸び率は種類ごとに大きく違います。為替スワップは2022年比+5%。スポットは+42%、フォワードは+60%でした。

取引の種類2022年4月からの伸び割合の向き
為替スワップ+5%最多のまま
スポット+42%31%へ上昇
アウトライト・フォワード+60%19%へ上昇

総額は+28%。スワップは総額ほど伸びていません。だから首位は守っても、割合は下がった計算になります。代わりに伸びたのがスポットとフォワード。BISの発表は、両者の割合が31%と19%に「上がった」と書いています。

規模で見るなら、主役はいまもスワップです。勢いで見るなら、スポットとフォワード。同じ表でも、どちらの軸で読むかで印象が変わります。

見方③:スワップとフォワードの使われ方を知る

BISは、スワップとフォワードを「為替リスクのヘッジによく使われる商品」と説明しています。市場の4割強は、値上がり益を狙うより、為替の変動を消すための取引だと読めます。

説明を受ける2人のイラスト
ヘッジは「値動きを取る」より「値動きを消す」ための取引

たとえば、ドルで代金を受け取る予定の会社。受け取る日の円高が怖ければ、いまのうちに交換レートを決めておけます。これがフォワードの典型的な使い方です。手元のドルを一時的に円に替え、あとで戻すならスワップになります。

個人のFXは、スポットに近い値動きで損益が出る取引です。ただ、市場全体では、こうしたヘッジ目的の取引が大きな割合を占めています。チャートの裏には、値幅を狙わない参加者もたくさんいる。そう知っておくと、ニュースの「実需の売り」「ヘッジの買い」という言葉が読みやすくなります。

初心者がやりがちな失敗は?

いちばん多いのは、BISの「為替スワップ」を、FXの「スワップポイント」と同じものだと思うことです。名前は似ていますが、指しているものが違います。

電話で話す女性のイラスト
同じ「スワップ」でも、統計の言葉とFX口座の言葉は別物
次の調査は2028年。今回の4つの数字だけ控えておく

3年ごとの調査なので、次は2028年4月が対象になる計算です。控えるのは「総額9.6兆ドル・スワップ4兆ドル・スポット31%・フォワード19%」の4つ。次の公表で、どれが動いたかを比べられます。

よくある質問(FAQ)

Q. 世界の為替取引はどのくらいの規模?

2025年4月の1日平均で9.6兆ドルです。2022年から28%増えました。BISが2025年9月30日に公表しました。

Q. いちばん多い取引の種類は?

為替スワップです。1日平均4兆ドルで、2022年比+5%でした。

Q. スポットの割合は?

全体の31%です。取引額は2022年から42%増えました。

Q. 為替スワップとFXのスワップポイントは同じ?

違います。為替スワップは、通貨をいま交換して後で戻す取引の種類です。スワップポイントは、FXでポジションを持ち越したときの金利差の受け払いです。

拓
拓(ヲタクの拓)
FXヲタク運営者。テクニカル分析と経済指標の読み方を「事実ベース」で解説。制度の話も、公表元の原文まで戻って確かめる派。

数値は2026年10月28日にBISのサイトで確認しました。金額への換算と「それ以外」の行は筆者の計算です。写真:Trading Floor in the Chicago Board of Trade Building(Wikimedia Commons・パブリックドメイン)。イラスト:いらすとや

最終更新:2026年10月28日