FX基礎知識
世界の為替でいちばん多いのは「為替スワップ」|1日4兆ドル、スポットは31%
国際決済銀行(BIS)の3年に1度の調査では、2025年4月の世界の為替取引は1日平均9.6兆ドルでした。いちばん多い取引の種類は「為替スワップ」で、1日4兆ドル。個人のFXに近いスポット(直物)は31%です。見方は3つ。①種類ごとの割合、②3年前からの伸び、③スワップとフォワードの使われ方。この順で押さえると、市場の主役が見えてきます。
そもそもBISの3年調査とは何か?
BISが3年ごとにまとめる「Triennial Central Bank Survey」です。世界の為替と店頭金利デリバティブの規模を、1か月分切り取って測ります。今回の対象は2025年4月。公表は2025年9月30日でした。
参加したのは52の国・地域の中央銀行や当局。そこが自国の1,100を超える銀行やディーラーからデータを集めます。BIS自身が「市場の規模と構造をいちばん網羅的に示す情報源」と書いている統計です。
| 項目 | 2025年4月の数字 |
|---|---|
| 為替取引の総額(1日平均) | 9.6兆ドル(2022年比+28%) |
| 店頭金利デリバティブ(1日平均) | 7.9兆ドル(同+59%) |
| ドルが片側に入る取引 | 全体の89% |
| 参加した国・地域 | 52 |
見方①:種類ごとの割合を並べる
いちばん多いのは為替スワップで、1日4兆ドル。総額9.6兆ドルで割ると約42%です。スポットは31%、アウトライト・フォワード(先渡し)は19%でした。

為替スワップは、2つの通貨をいま交換し、決めた日に逆向きに交換し直す取引です。スポットは、その場で通貨を売り買いする取引。フォワードは、将来の決まった日に、いま決めたレートで交換する約束です。
| 取引の種類 | 1日平均 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 為替スワップ | 4兆ドル | 約42%(筆者計算) |
| スポット(直物) | 約3.0兆ドル(筆者計算) | 31% |
| アウトライト・フォワード | 約1.8兆ドル(筆者計算) | 19% |
| それ以外の商品 | 約0.8兆ドル(筆者計算) | 約8%(筆者計算) |
BISが数字で示しているのは、為替スワップの4兆ドルと、スポット31%・フォワード19%の割合です。金額への換算と「それ以外」の行は、総額9.6兆ドルから私が割り戻しました。端数の丸めで、合計は少しずれます。
見方②:3年前からの伸びを比べる
伸び率は種類ごとに大きく違います。為替スワップは2022年比+5%。スポットは+42%、フォワードは+60%でした。
| 取引の種類 | 2022年4月からの伸び | 割合の向き |
|---|---|---|
| 為替スワップ | +5% | 最多のまま |
| スポット | +42% | 31%へ上昇 |
| アウトライト・フォワード | +60% | 19%へ上昇 |
総額は+28%。スワップは総額ほど伸びていません。だから首位は守っても、割合は下がった計算になります。代わりに伸びたのがスポットとフォワード。BISの発表は、両者の割合が31%と19%に「上がった」と書いています。
規模で見るなら、主役はいまもスワップです。勢いで見るなら、スポットとフォワード。同じ表でも、どちらの軸で読むかで印象が変わります。
見方③:スワップとフォワードの使われ方を知る
BISは、スワップとフォワードを「為替リスクのヘッジによく使われる商品」と説明しています。市場の4割強は、値上がり益を狙うより、為替の変動を消すための取引だと読めます。

たとえば、ドルで代金を受け取る予定の会社。受け取る日の円高が怖ければ、いまのうちに交換レートを決めておけます。これがフォワードの典型的な使い方です。手元のドルを一時的に円に替え、あとで戻すならスワップになります。
個人のFXは、スポットに近い値動きで損益が出る取引です。ただ、市場全体では、こうしたヘッジ目的の取引が大きな割合を占めています。チャートの裏には、値幅を狙わない参加者もたくさんいる。そう知っておくと、ニュースの「実需の売り」「ヘッジの買い」という言葉が読みやすくなります。
初心者がやりがちな失敗は?
いちばん多いのは、BISの「為替スワップ」を、FXの「スワップポイント」と同じものだと思うことです。名前は似ていますが、指しているものが違います。

- スワップを取り違える:統計の為替スワップは取引の種類。FXのスワップポイントは、ポジションを翌日に持ち越したときの金利差の受け払いです。
- 割合と伸び率を混ぜる:スワップは割合で最多、伸び率では+5%と最も小さい。
- 4月の1か月を1年の平均と思う:数字は2025年4月の1日平均です。
3年ごとの調査なので、次は2028年4月が対象になる計算です。控えるのは「総額9.6兆ドル・スワップ4兆ドル・スポット31%・フォワード19%」の4つ。次の公表で、どれが動いたかを比べられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 世界の為替取引はどのくらいの規模?
2025年4月の1日平均で9.6兆ドルです。2022年から28%増えました。BISが2025年9月30日に公表しました。
Q. いちばん多い取引の種類は?
為替スワップです。1日平均4兆ドルで、2022年比+5%でした。
Q. スポットの割合は?
全体の31%です。取引額は2022年から42%増えました。
Q. 為替スワップとFXのスワップポイントは同じ?
違います。為替スワップは、通貨をいま交換して後で戻す取引の種類です。スワップポイントは、FXでポジションを持ち越したときの金利差の受け払いです。
- 一次情報:
- Bank for International Settlements「Global FX trading hits $9.6 trillion per day in April 2025 and OTC interest rate derivatives surge to $7.9 trillion: Triennial Survey」(2025年9月30日公表・総額・取引の種類・通貨別)
- 金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
数値は2026年10月28日にBISのサイトで確認しました。金額への換算と「それ以外」の行は筆者の計算です。写真:Trading Floor in the Chicago Board of Trade Building(Wikimedia Commons・パブリックドメイン)。イラスト:いらすとや
最終更新:2026年10月28日